八女市 星野村 農村民宿 後藤さんのこと.

2012.12.06 Category 12九州ちくご元気計画 星野村 後藤さん農家民泊.

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みなさまご存知のとおり、夏の水害で八女市星野村も大きな被害がありました。
しかし、もう星野村には、普通に、迂回なしで、久留米方面から行く事が出来ます。

九州ちくご元気計画さんで担当させて頂いた星野村の農村民宿 後藤さんは、営業しています。

先日久しぶりにお伺いして、あの日のことをお聞きしました。
今日は、星野村で暮らすご夫妻のあれからこれまでを書かせて頂くことにしました。

書こうと思った理由は、『大変さ』をアピールしたいわけではなく、
ひとには語る機会のないことがある中で、それでもコツコツ前を向いて行っているひとが
いることをお伝えしたかったからです。

それは後藤ご夫妻だけではなく、災害に出逢ってしまったひとだけでなく。

後藤ご夫妻はよくわたしに言います。

『頑張ってるのはわたしたちだけではない。星野村には頑張ってるひとが沢山いる。
そのひとたちをお伝えするために、自分たちは前に出て行く。取材も忙しくても受ける。』

なので、お二人が思うことのサポートになれば、と、書く事にしました。

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後藤さんには食べて行くための3つの柱があります。

1つ目の柱は、2012年農林水産省農村振興局長賞の大きなきっかけになった、
20年続けて来た味噌つくり。

激しい雨音で目が覚め、お父さんが外に出てみると、少し高台の後藤さんちのすぐ側まで
水が上がって来ていて、樹木が根っこのまま、どんどん流れて行ってる様子を見て、

『ただ事ではない。』と思い、お母さん、お産後に帰って来てた娘さんとお孫さんを起こし、

山手から軽トラで避難していらっしゃった隣人の方に、娘さんとお孫さんだけを乗せて頂き、
ふたりは、じっとしていたそうです。その後、小学校へ避難し、息子さんのお家へ。

その後、工房に行けることになり、
しかし、時間が経ち過ぎていた為、お味噌は約1トン処分なさったそう。

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2つ目の後藤さんの柱は、2011年福岡産業デザイン賞を受賞した、ほしのほしやさい。
地元のおばちゃんたちと一緒に、料理家の井口和泉ちゃんとコツコツ、進んだり戻ったり
しながら、出来上がったと聞いてる。

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みなさんが大切にして来た加工場は、大雨の中、すっぽり見えなくなり
誰もが流されてしまったと思っていたそう。それが雨が止んだあと、加工場が現れた!

どこから来たか分からない程の大きな石が、加工場の角に引っ掛かっていて、
そのおかげで、水の力が分散し、壊滅的な被害は逃れたそう。

しかし加工場の中は、数十センチの土が積もり、機械はもちろんダメ。
お父さん曰く、『ボランティアさんの力がなかったら、心が折れてた。』と。

コツコツ、コツコツ、加工場のみなさんと土をかき出して、空間は何とか使える。
しかし機械の再生には多額の費用がかかる。

心の折れそうな後藤のお母さんから、何度もお電話を頂いて、わたしもこう見えて、
何もかんもが重なって大変だった経験をしたことがあり、今もその痛手は心にあるので、
互いに励まし合って進んで来た。

加工場のお話も聞き、講師の和泉ちゃんに連絡。
商品やシステムの現状を聞いて、加工場再開に向けてわたしなりに動こうと思っていたけど、
ちょうどお伺いした時に、機械が復活したことを聞き、安堵。

加工場、復活です。すぐに、おばちゃんたちは会議を開き、一歩ずつ進んでるようです。
詳しくは、井口和泉ちゃんか、元気計画さんへお問い合わせを〜。

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そして3つ目の柱、民泊。奇跡のスピードで開業出来たのに、開業2ヶ月後に道路が不通。

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これだけ、積み重ねて来た事が、ぜんぶダメになると、ひとって、そう簡単には、
起き上がれるわけない。ましてや、高齢。

実は後藤のお母さんは水害の後、倒れてしまってたのです。

それでも杖をつきながら、
『みなさんがやってくれてるのに、寝とくわけには・・・。』動いてたのです。

そして健康な時にはワッショイなことだけど、このタイミングで全国誌に掲載が決定。

フラフラなご様子で

『先生、こんないいお話頂いて、頑張るけん。』とお電話をもらっておりました。
(この頑張りは、自分のためではなく、お世話になった方、星野村のためです。)

そんな時に、元気計画さんが、わたしをアドバイザーとして派遣をして下さり、
ご夫妻の改めてイロイロと聞き、そして話し合い、ご夫妻、やる気UP。

今、意匠職人の町谷さんと動いています。町谷さん懲りずに(笑)ずっとお付合いありがとー。

プラス、ご夫妻が『みんなとまたワイワイしたいなー。』という言葉を
塚本くんがこころにとめてくれていて、発起人になってくれて、

元気計画さんを卒業した推進員のふたりと、職人さんたちと、今月はお泊りで忘年会。
まずは想い出話して大笑いして、民泊の今後について意見交換して、
次の日みんなでグレードUPをやっちゃいます。

お客様をおもてなしするご夫妻の心が豊かになって頂くこと、
それが今回の最大のミッション。忘年会メンバーのみなさま、ご協力よろしく。

この前、伺った時に頂いた猪、またあるかなぁー。

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空間のグレードUP計画は見通しがついたのだけど、

『星野村には行ける。』そのことを、伝えるためにどうしたら良いか・・・と考えてたら、

元気計画さん主催のプチ交流会が、柳川の夜明茶屋さんであり、お知らせを見たら、
古い友人の大好きなBOOKLUCK山村氏が東京から来るとのことで、

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何故来るのかも知らず(笑)行くと、

お久しぶりに、ゆっくりお逢い出来たH女史とお話させて頂き、その後お顔が浮かび、
お力を借りたいとむちゃくちゃ恐縮しながらメールをしたら、

『前に後藤ご夫妻にはお世話になったことがあって協力させて下さい。』と、お返事を頂いて、
TVさんでの取材が現在進んでおります。

詳細はもう少し先で。

この事をご夫妻に伝えたら、

『わたしらはお世話になるばっかりで、お世話なんてした記憶がない。誰やろう〜。』と。

メールの内容をご説明したら、『分かった!でもお世話したんやろうかぁ。』と。(笑)

この前、横浜のイベントセッティングからオランダ大使館パーティーの夜、
いつも宿泊するお近くに住んでる山村さんが『お洒落したミヤギさんとお酒飲みたいなー。』と
メールを下さって、ホテルのbarで、ちくごさんのお話を。

山村さんからこんな質問を頂きました。

『どうして、ちくごのみなさんはあんなに真摯に頑張り続けることが出来るんだろう。』

わたしが答えた内容は、
全員を知らないけど、わたしが知る限りでは、みなさん自分のためだけでは動いていないこと。

つくり手として、美味しいものを届けたい!という普通な大きな気持ちがベースにあり、

たぶん消防団とか(あるんかな?笑)いろんな地域の会合で聞く言葉を
自分が頑張りプラス発信することで廻りのひとも『自分も出来るんやないかな。』
そんな気持ちになって欲しいな、と、廻りや業界や地域のことを、
心の底にズシンって持ってる気がするんだーーー。

こんな気持ちを持っているひとへのきっかけをつくったり、こんな気持ちに向かわせちゃうのが、
九州ちくご元気計画ではないかな、と思います。

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後藤ご夫妻が民泊を始めた理由は、数年前、倒れたお母さん。

『復活なんて出来ない。』と思って塞ぎ込む毎日に、憧れの九州のムラの編集長さんが、
ひょっこりやって来て下さった。

『こんな田舎までこんなスゴいひとが来て下さるなんて。またコツコツ頑張ろう!』

そう思い、起き上がり、またコツコツ。

そして、あの時の自分のようなひとが、星野村にいたら、今度は自分がサポートしてあげたい、
働く場所をつくってあげたい、その気持ちで始めたのでした☆

お父さんは、それを黙って(いや、たまにブツブツ)サポート。素敵なご夫妻です。

長々と書きましたが、『星野村へは普通に行けます!』ってこと覚えてて下さいませ!

お写真をお借りしたハルくんいずみちゃん、勝手に失礼!今度何かごちそうします♪


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